自民党の中川政調会長は6日のテレビ朝日の報道番組で、靖国神社につい
て、「国が責任を持ち、非宗教法人で誰を合祀するかは政府が決めるとい
うかつての法案のようなものを党と日本遺族会とで検討していくべきだ」
と述べ、靖国神社を非宗教法人化する法案を検討する考えを表明した。非
宗教法人化により、政府の判断でA級戦犯分祀に道を開くことを視野に入
れたものだ。中川氏は番組後、記者団に「日本遺族会の議論を見守りたい。
遺族の人たちが望むなら、そういう法案を出すことはあり得る」と語り、
9月の自民党総裁選後に行われる予定の日本遺族会の議論を注視する考え
を示した。

 

かつて靖国神社を国家の管理の戻そうと言う国家護持運動が起こったこと
があるが、靖国神社法案を計5回も提出したものの全て廃案となっていた。
国家神道の宗教施設である以上、非宗教法人化したところでそれこそ政経
分離の原則に反するとして、猛烈な批判を喰らうのは目に見えている。そ
れでも突き進むとするのであるなら、敢えて止めはしないが戦犯を外すた
めだけのために、そのような労力を注ぎ込む必要があるのか甚だ疑問であ
る。このように政治問題化した中で、今上陛下の御親拝はかえって難しい
であろうし、何よりも死んだ後にも罪を問われて魂の選別を行うような行
為は気持ちの良いものではない。

 

遺族会が原則的に分祀賛成を打ち出したところで、それは教義上出来ない
と突っぱねるのが靖国神社の立場であろう。そうなって初めて国家管理へ
とするべきかを真剣に議論せねばなるまい。個人的には一宗教法人が国家
のために戦い斃れた英霊の顕彰施設であるのは、必ずしも好ましいものだ
とは思っていない。国家のために尽くしたのであるから、国家が主導して
彼等に感謝し顕彰すべきではなかろうか。そのための国家管理なら賛成だ
が、今の議論は戦犯にのみ注意が集中しているため、そのような場当たり
的な法案には一切賛成出来ない。