9月の自民党総裁選に出馬する意向を示している麻生外相は8日の閣議
の記者会見で、靖国神社の改革に関する見解を発表した。同神社が自主的
に宗教法人を解散した上で、国が関与する特殊法人に移行することが柱。
無宗教の国立追悼施設とすることで、憲法政教分離原則に抵触しない形
態とし、天皇や首相が参拝しやすい環境を整えるのが狙いだ。靖国神社
非宗教法人化は、自民党古賀誠・元幹事長、中川政調会長らも提唱して
いる。麻生氏は見解を明示することで、議論をリードしたい考えだ。

 

この考えの中で麻生外相は、、宗教法人としての靖国神社を自発的に解散
し、いったん財団法人などへ移行する。最終的には国会で設置法をつくり、
特殊法人とする。名称は例えば「靖国社(招魂社)」とするなどを提案し
ているが、国家護持の追悼施設として未来永劫残していくとするのであれ
ば、確かに案そのものは悪くは無い。だが、宗教法人ではなくなるとは言
えども、そこにはやはり宗教的な儀式も必要となってくるであろうし、鳥
居が立ち拝殿・本殿を構えている以上は神社としての位置付けに変更はな
いとも言えるだろう。

 

中国の批判に組する一部の政治家は、政教分離云々よりもいわゆるA級が
祀られている限りは参拝は好ましくないと主張し続けるであろうし、外交
カードとして靖国神社が有効であると誤ったメッセージを送ることになる
だろう。分祀が好ましくないのは、死者の選別であることとあくまで外圧
に屈したとの印象をこれからも残すことである。祭祀の方法まで他国に踏
み込まれていては、国家としての体を成していないのも同然である。