中国の江沢民・前国家主席が在任中の1998年8月、在外大使ら外交当
局者を一堂に集めた会議の席上、「日本に対しては歴史問題を永遠に言い
続けなければならない」と指示し、事実上、歴史問題を対日外交圧力の重
要カードと位置付けていたことが、中国で10日発売された「江沢民文選」
の記述で明らかになった。中国は胡錦濤政権に移行した後も一貫して歴史
問題を武器に対日圧力をかけ続けており、江氏の指針が現在も継承されて
いるとすれば、歴史問題をめぐる中国の対日姿勢には今後も大きな変化が
期待できないことになりそうだ。同文選(全3巻)は江氏の論文、演説な
どを集大成したもので、これまで未公開だった重要文献を多数収録。

 

中国にとって歴史問題のカードは身銭を切らずにいくらでも投入出来る最
高のコストパフォーマンスを誇る、正に切り札的なものである。おまけに
我が国の政府に揺さぶりをかける効果だけでなく、さらに国内の一部勢力
が呼応して大騒ぎする黄金パターンが炸裂する。それが江沢民国家主席
の指針として、「永遠に言い続けなければならない」などと後の政権にま
で引き継がれていくとなると、本当に厄介なことだ。江沢民文選などと銘
打っているのであるから、この発言自体は真実であろうし中国の基本的な
姿勢と一致する以上、我が国に対する歴史問題のカードは今後も切り続け
られるだろう。

 

靖国神社の参拝問題しかり歴史教科書しかり、そして中国各地にある抗日
記念館の類しかり、である。首相の靖国神社参拝がされなくなったとして
も、中国はそれこそ歴史カードの重みを知り有難さを実感することであろ
う。それでもなお、中国にお伺いをたてようとする行為は見過ごすことを
出来はしない。