安倍晋三官房長官は4日、福岡市で開かれた自民党総裁選の九州ブロック
大会で、昨年衆院選で離党した「郵政造反組」の処遇について「同じ方向
を向いているなら、しっかりと協力していく道も当然考えるべきだ」と述
べ、新政権の政策に賛同することを条件に復党を検討する考えを示した。
麻生太郎外相、谷垣禎一財務相も復党に積極姿勢を示した。安倍氏は「参
院選に勝つためではなく、我々が理想とする国を造っていくために、多く
の良質な人たちに一緒に参加してもらわなければならない」とも述べた。
麻生氏は「たった一つの法案で意見が合わなかっただけで離党に追い込ん
だのはやり過ぎだ。1年たったので、納得が得られるなら復党してもらっ
ておかしくない」と明言。谷垣氏も同調した。

 

来年の参院選小泉ブーム自民党が大勝した時の議員が改選を迎えるた
め、本来であれば当選は難しかった議員も言葉は悪いがうっかり当選して
しまった可能性もある。となると国民的な人気の安倍官房長官が首相とな
ったとしても、苦戦は免れないだろう。また同じような風頼みの選挙を期
待していては、安定的な政権運営など覚束ない。優先造反組には多くの実
力者達が含まれており、言わばその地域の顔役でもあった。彼等が復党し
参院選で支援に回ることで、再び元の鞘に戻ろうと言うのは自民党にとっ
て得な話かもしれないが、当の造反組にとってはいささか虫のよい話に聞
こえることではなかろうか。刺客を送られ、党の支援も無い中で勝ち抜い
た議員も多く、協力しろと言われてもそうそう難しいのは確かだ。

 

それだけ次の参院選は苦戦が予想されていることの裏返しでもあろう。自
公で何とか過半数を維持しているに過ぎない以上、現状維持は難しいにせ
よ大敗は絶対に出来ない戦いとなる。万が一にも過半数割れを起こせば片
肺飛行を余儀なくされ、次期政権は崩壊する。衆院では3分の2を抑えた
巨大与党もそういった意味で張子の虎と成りかねない。ポスト小泉の三氏
にとって現実的な課題は、造反組の復党となりそうだ。