中国の毛沢東元主席が死去し、9日で30年を迎えた。胡錦濤指導部は自
らが主導する記念式典を予定していないほか、「功績が7、過ちが3」と
した毛氏に対する従来の評価を維持している。「安定優先」の指針に沿い、
現在も敏感な毛氏の「過ち」への言及を避けている。北京の人民大会堂
は8日夜、毛沢東思想研究会などの主催で「逝去30周年記念音楽会」が
開かれ、高齢者を中心に約8000人が出席した。また、毛氏の故郷、湖
南省韶山で6日、新たな記念館建設が始まった。地元政府が150万元を
投入し、今年12月の生誕113年に完成する予定だ。国内の公的機関や
施設には現在も、「新中国建国の父」の肖像画や像、レリーフが数多い。
根強い「毛沢東人気」は、建国当時とその後の時代への郷愁とともに、拝
金主義が横行し格差が拡大する現在の不安や不満の裏返しとも指摘できる。

 

大躍進や文化大革命で中国を混乱の坩堝に追い込んだのは、他でもない建
国の父毛沢東であった。国民党との内戦に勝利することで共産党は一党独
裁体制を確立し、そしていまなお歪ながらも一党独裁による社会主義体制
を維持し続けている。毛沢東を始めとした革命の当事者達が鬼籍に入る中
で、過去の歴史を鑑としろと我が国に対して何度も批判してくる現共産党
指導部は、共産党がこれまでしてきたことの歴史も当然鑑として、過ちの
部分は過ちとして目を瞑らずに正面から向き合うべきではないか。現在の
大陸沿岸部のみに富が集中するような状況は、その恩恵を受けられない者
達にとっては不満が鬱積し、毛沢東が建国した当時に思いを馳せるのであ
ろう。そのような不満が各地で爆発し、我が国の外務省も数えるだけで中
国国内で年間数万件の暴動を確認していると言う。果たして毛沢東が建国
した中国がどのような道を辿るか、気が気でないのは確かだ。