民主党小沢一郎代表と菅直人代表代行が20、21両日、太平洋戦争の
激戦地だった東京都小笠原村硫黄島を訪ね、遺骨収集の現場や当時の壕
跡を視察する。戦争責任問題への取り組み姿勢をアピールする狙いだが、
自民党総裁選がある20日に永田町を離れることで、「『敵将』に関心な
し」という小沢氏の姿勢も示す格好だ。硫黄島では1945年2月から3
月にかけて日本軍約2万2000人が「玉砕」したが、遺骨は4割にも満
たない8510柱しか収集されていない。菅氏は「戦争の悲惨さの原点が
忘れられている」として独自に視察を決定。そこへ、12日に代表再選を
決め、「25日までは人事で党内が騒がしくなるから隠れたい」との意向
を持つ小沢氏が乗り、「二人旅」となった。

 

世間の目は嫌でも自民党総裁選に注目が集まり、無投票で選出された小沢
代表率いる民主党の存在感は発揮しようがない状態で、ひとまず騒がしい
東京を離れてわざわざ激戦地であった硫黄島に足を運ぶとは殊勝なことで
ある。安倍氏が圧倒的優位に立つ中で、安倍政権成立後の出方を小沢代表
は練っていることであろうが、決戦となる来夏の参院選に向けて衆院補選
を安倍人気を抑えた上で勝利し、「選挙に強い」と言う小沢代表の神通力
を確実なものとしなければならない。自民党を飛び出してからは幾たびも
政党を作っては壊しを繰り返してきた小沢代表にとって、新進党に続いて
最大野党を率いて決戦を挑むことは、最後のチャンスかもしれない。偽メ
ール問題で揺れた党内を表面上は固めて、寄り合い所帯として力を発揮出
来るかは小沢代表の腕の見せ所だろう。