6日午前の衆院予算委員会では、93年7月の衆院選で初当選した安倍晋
三首相と同期の田中真紀子元外相が質問に立った。03年11月に民主党
会派入りした田中氏が予算委で質問するのは初めてで、北朝鮮による拉致
問題を中心にした外交方針などを首相にただした。冒頭、田中氏が「自ら
首相にふさわしいと思うか。同期の桜なので本音を」と皮肉ったのに対し、
首相は「同期の中で田中氏こそ首相になるのではないかと印象を持ってい
た」と切り返した。さらに田中氏は、首相の著書を引き合いに出しながら
「『美しい国』というので、どれだけ美しい大臣が出てくるのかと思った
が、こういう皆様だった。『美しい』という形容詞は個人差がある」など
と閣僚批判も忘れなかった。

 

2001年の自民党総裁選で小泉前首相を総裁に押し上げたのは、田中真
紀子元外相が果たした功績は確かに大きかった。中身は無いものの大衆を
つかむ語り口には小泉フィーバーの文字通りの火付け役となり、鳴り物入
りで小泉内閣の外相に就任。結局は小泉前首相に外相を更迭されてしまっ
たが、これによって小泉内閣の支持率もガクンと落ち田中元外相の人気の
高さが証明されたのである。非常に危なっかしい外相として、特に拉致問
題に関しては、金正日の長男とされる人物を偽造パスポートで我が国に入
国したところを入国管理局が拘束したと言うのに、丁重に送り返す失態を
演じている。それは小泉前首相の判断だったと弁解しているが、田中元外
相がどれだけそれに抵抗したのかは疑問が残る。

 

如何に国民的人気が高かろうとも中身が伴わなければ、国を代表する立場
になってもらうわけにはいかない好例だ。安倍首相も国民的人気によって
自民党総裁に選ばれたと言っても過言では無い。やるべきことは多々ある
が、まずは初の外遊に一定の成果を残して、特に中国との間にある政治と
歴史の問題を切り離すことを成し遂げて欲しい。過去の歴史によって現在
の政治が右往左往するようでは、真の国家ではない。