北朝鮮宋日昊日朝国交正常化交渉担当大使は十二日までに、平壌で共同
通信と会見し、核実験発表を受け日本政府が追加制裁に踏み切れば「必ず
対抗措置を講じることになる」と述べた。発足間もない安倍晋三政権に対
しては「首相の言動を注意深く見ている」と話し、対北朝鮮政策について
今後の出方を注視する構えを示した。北朝鮮の対日担当高官が安倍政権に
ついて言及したのは初めて。追加制裁には厳しい反応を示したものの安倍
政権の評価では非難を抑制、日朝関係再構築に取り組む意欲をにじませた。

 

制裁は宣戦布告とみなすと豪語する北朝鮮らしい会見の内容だが、それら
のことにいちいち反応していては、キリがないわけで捨て置いて問題はな
いだろう。安倍首相にとって北朝鮮への対応を見誤れば自身を首相にまで
押し上げた理由の一つ、ぶれない対応に疑問がつきかねない。特に拉致被
害者家族会が安倍首相に期待するところは大きく、拉致問題が何ら進展も
ないままに時間だけが無碍に過ぎていくことは、やはり避けねばなるまい。
北朝鮮への制裁は国連主導で行われてしかるべきであるが、北朝鮮の核武
装で確実に影響を受ける我が国なりの対応も必要であろう。

 

果てしなきチキンレースと言うものは存在しない。どこかでいずれ破綻す
北朝鮮瀬戸際外交に振り回されること無く、毅然とした姿勢で安倍首
相はことにあたって欲しい。