久間章生防衛庁長官は16日午前の衆院テロ防止・イラク復興特別委員会
で、憲法解釈で禁じられている集団的自衛権行使の問題について「(日本
と米国の艦艇が)連れ立っていた時に相手が襲ってきたら、一緒になって
防御するのは正当防衛が成り立つんじゃないか。武器等防護の規定に基づ
き反撃せざるを得ない」と述べた。政府見解はこれまで、米艦艇の防御に
ついては憲法解釈の問題から「我が国が自衛の目的以外の場合については
米艦艇を守れない」としていたが、どういうケースが集団的自衛権行使に
該当するかはあいまいだった。久間氏の発言は、公海上で米艦艇が攻撃さ
れた場合、補給活動などで一緒にいる自衛艦が応戦しても集団的自衛権
行使ではなく、正当防衛にあたるとの認識を示したとみられる。

 

なぜこのような議論を繰り返さなければならないのか、まったくもって疑
問である。友軍が攻撃を受けているのに黙って見ている、そのような同盟
関係などあるはずがない。同盟は戦闘状態であれば相互防衛があってこそ
成り立つものであって、正当防衛を盾に友軍を防衛するのはむしろ義務で
ないか。防御や反撃が出来るのか出来ないのか、良くわからないまま出撃
されて困るのは自衛隊である。現場の判断に委ねて政治家が責任をとらな
いのでは、シビリアンコントロールが形式的なものでしかなくなる。超法
規的な措置をとれば旧軍同様に独断、暴走などと心無いメディアに叩かれ
るのがオチであろう。

 

いい加減に下らない議論を切り上げて、きちんとした規定を設けて自衛隊
が現場で戸惑わないようにしてから、送り出してやるべきだ。武器を持て
ども使えないのでは危機的状況に対処出来るはずがない。自衛隊という世
界屈指の装備を持つ軍隊を抱える政府としても、それをどう使うかを今ま
で放置してきた罪は大きい。軍国主義の復活などと騒ぎ立てるメディアは
スリードも甚だしいことだ。雑音に振り回されること無くきちんと整備
することが政府の責務である。