安倍首相は19日午前、来日中のライス米国務長官首相官邸で、約40
分間会談した。両者は、核実験実施を発表した北朝鮮への対応について、
日米同盟をもとに日米両国が緊密に連携し、国連安全保障理事会の制裁決
議の迅速な実施を図ることで一致した。また、日米が協力して中国、韓国
などの関係国に働きかけていくことで一致した。首相は「長官の来日で、
日米同盟の中で米国が日本と地域の安定に関与することを示してくれ、大
変心強い。同盟に対する国民の理解も深まった」と日米同盟の意義を強調。
さらに「今後、ミサイル防衛や米軍再編のスムーズな進行など、同盟をさ
らに強化するよう努力する」と述べた。

 

ライス国務長官は我が国を米国の核の傘で守ると明言し、日米同盟が強固
なものであると北朝鮮に強くアピールもしている。事実、先日の北朝鮮
ミサイル乱射の時も最初に情報を掴んだのは、高性能な軍事衛星をいくつ
も展開させている米国であった。我が国単独ではどうしても情報不足に陥
りがちなところを米軍とのデータリンクで補い、今後配備されるミサイル
防衛システムを有効に機能させ、武力行使を封じられた我が国なりの防衛
体制を築く必要がある。同盟の強化は我が国内で噴出するであろう核武装
論議への牽制にもつながることを見越しているのであろう。

 

本当に米国が守ってくれるかなど、もとより保障はないものの現在の自衛
隊の戦力では核保有国である中国、ロシア、北朝鮮と正面きって対峙する
のは心もとない。自前で戦力を整えた上で日米同盟を緩やかなものしてい
くのであるなら、今の予算規模ではいつまでたっても実現は出来ないだろ
う。核保有がその近道と言えども我が国が核開発競争の端緒を開けば、そ
れは国際的な非難をあび、孤立化を深めることになりかねない。議論とし
ての核保有はあっても良いかもしれないが、実際に持つとなるとその障害
は想像以上に大きそうだ。