麻生外相は20日午前、ソウルの青瓦台で韓国の盧武鉉大統領と会談した。
大統領は、国連安全保障理事会北朝鮮制裁決議について「韓国は誠実に
履行する」と明言した。ただ、「決議の解釈の最終権限は各国にある。日
本も同じように自主的に判断して欲しい。北朝鮮が話し合いのテーブルに
つくことに資することを期待する」と述べ、韓国が取る具体的な制裁措置
は慎重に判断する考えを示した。外相は、「日米とも韓国の事情は分かっ
ている。できる範囲のことから始めてもらえばいい。強制するつもりはな
い」と述べた。日韓関係について、外相と大統領は、「未来志向の関係」
の構築に向けて努力することで一致した。

 

韓国が太陽政策を取り続けてきたことや、金剛山観光に多額の資金を投入
したことは北朝鮮の核実験実施と言う事実の前に全てが無為に帰したと言
っても良いだろう。北朝鮮の暴発を未然に防ぐためにせっせこと援助を続
けてきたとは言え、こうまであっさりと裏切られては同じ民族としても、
そろそろ我慢の限界が近いと思うのだが、果たして韓国はどのような判断
を下すのか注目しなければならない。何しろ親分格の中国が北朝鮮の核武
装を阻止するために積極的に動き始め、韓国も日米と協力しつつ北朝鮮
と当たっていくのが筋だ。

 

ただし、麻生外相が述べているように北と南で別れているとは言えども、
これまで融和路線をとってきた盧武鉉政権がいきなり強硬路線に出るのは
国内事情もあり、そう簡単なことではないだろう。かと言って国連の制裁
決議と逆のことをされても元も子もない。そういう意味で麻生外相はあく
までできる範囲から始めて、少なくとも北朝鮮を利する真似はするなと釘
を指したとも言えそうだ。何も動かないでいてくれた方が、日米としては
動きやすいと言うのも皮肉な話ではあるが。