耐震強度偽装を見逃した確認検査機関、イーホームズ藤田東吾社長が2
0日、東京・永田町の首相官邸を訪れて安倍晋三首相に面会を求めて拒否
され、官邸前が一時騒然となる一幕があった。藤田社長は午後1時ごろ、
川崎市内のマンションが新たな「偽装物件」であるなどと告発する書面を
手に官邸を訪れた。「腐り切った国土交通省に渡してもどうしようもない。
直接首相にお渡しし、対応してもらいたい。首相とは知らない仲ではない」
と首相に面会を求めた。官邸側の対応を待つ間、取り囲んだ報道陣に、こ
れまでの国の対応やマスコミ報道を批判。周辺には警備の警察官も多数集
まり、物々しい雰囲気となった。結局、官邸側は受け取りを拒否。代わり
内閣府の職員が書面を受け取った。

 

藤田社長は18日、東京地裁で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い
渡され、それを受け入れたようだがあくまで自身は被害者であると主張し
続け、その結果がこの首相への直談判へとつながったのであろう。この行
動自体を褒めるつもりはないが、耐震偽装問題そのものが何かうやむやに
されてしまった感は正直否めない。偽装の発端となった姉歯建築士やヒ
ューザー、イーホームズと言った企業は廃業・破産の社会的制裁を受けた
が、本当にこれだけ耐震偽装問題が終結したと言えるのか。これだけの数
のビルやマンションが建てられている中で、偽装が数棟で済んでいるのな
ら幸いであるが、別の力が働き調査が潰されてしまったとすれば、背信
為に他ならない。疑わしい物件には徹底的な調査が必要だ。