防衛庁の省昇格を柱とする防衛庁設置法等改正案は27日午後の衆院本会
議で、趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。野党は慎重審議を求めて
いるが、与党は今国会での成立に全力を挙げる方針だ。改正案は防衛庁
内閣府の外局から省に移行させるとともに、自衛隊の国際平和協力活動な
どを「付随的任務」から「本来任務」に格上げする。周辺事態の際の米軍
への物品提供など「内閣府の長」としての首相の権限・任務は、「防衛相」
に移譲される。自衛隊の指揮監督や防衛出動発令など「内閣の長」として
の首相の権限・任務は維持される。今国会で成立すれば、来年1月早々に
も「防衛省」が発足する見通し。

 

警察予備隊の発足から保安隊を経て自衛隊が誕生し、事実上の軍隊であり
ながらも著しく不名誉な扱いをされてきたわけだが、ようやく悲願とも言
うべき防衛省の誕生が近付いてきている。これを北朝鮮の脅威を煽ってな
し崩し的に軍国主義を復活させようとする動きだなどと社民党あたりが言
いそうだが、かつて自民党社会党村山富市氏を首相に担いだ際には自
衛隊は合憲であると言い放ち、護憲云々などどうでも良いのだと権力の座
についた途端に豹変する始末だったのを忘れたか。いったい軍国主義の復
活とは如何なる状態を指すのか明確に説明してもらいたいものだ。現実的
脅威を前に何ら手を打たないことは国民の命を蔑ろにすることである。

 

今まで通り自衛隊は首相が指揮権を持ち、かつてのように統帥権をふりか
ざして暴走することは出来ない。さらに言えば自衛隊は外に出て戦うよう
には事実上作られていない。空自は長距離爆撃機を持たず、海自は揚陸艦
・空母を持っていない。むろん弾道ミサイル巡航ミサイルも同様である。
あくまで我が国を守るために機能すれば良いと考え、事実そのように整備
されてきているのである。そのような事実に目も向けずにただ軍国主義
復活と騒ぐのは幼稚にもほどがある。