ブッシュ米大統領は8日、イラク政策が「うまくいっていない、迅速に進
んでいない」と発言した。ブッシュ大統領は記者会見で、ラムズフェルド
国防長官の辞任を発表。ラムズフェルド長官と、イラク問題における「新
たな視点」が必要ということで合意したと述べた。イラク問題への取り組
みが、今回の中間選挙の最大の争点になったが、ブッシュ米大統領は、共
和党の敗北がイラクからの米軍の早期撤退を意味するわけではないと指摘。
また、引き続きイラクでの「勝利にコミットする」と述べる一方、自分が
望んでいるように、物事が進んでいないことも認めた。

 

ブッシュ政権発足から国防長官の座にあったラムズフェルド国防長官を更
迭し、イラク政策の誤りに言及したブッシュ大統領であるが、民主党がイ
ラクが混乱を極める中での早々の撤退などを要求すれば、米国は世界中の
笑いものとなるであろう。米国に追随して軍を派遣している有志連合にと
って最大兵力の米軍が抜けることは、安全面からも自国の軍も撤退させざ
るを得ず、何のためにイラクくんだりまで派兵したのかと国民から突き上
げを食らうことに違いない。幸いにして我が国の陸自は撤収を完了してお
り、空自が輸送任務にあたっているのみで打ち切るのは他国に比べれば、
容易な立場にある。

 

イラク問題が片付かないことには、米軍の大兵力は釘付けにされたままで
あり、かと言って早期撤退はマリキ首相率いる新生イラクの崩壊を意味し、
今まで苦労して立ち上げた民主化のプロセスを逆行させてしまう。やはり
段階的に撤退を完了し可能な限りソフトランディングを試みる他あるまい。
戦争は始めるのは簡単だが、その終わらせ方は容易ではない。フセイン
統領を死刑に処したところで何も変わりはしないだろう。唯一の超大国
国の威信にかけて、打開策を見つけ出して欲しいものだ。