先進国30カ国による国際機関、経済協力開発機構は9日、中国の環境政
策に関する審査結果と提言をまとめた初の「中国環境レビュー」を発表し
た。中国地方政府の環境関連法規、法律の執行、順守不足を指摘し、「中
国の国家環境保護総局を環境省に昇格させ、環境税導入など経済手段によ
る地方政府への監視、監督強化をすべきだ」と苦言を呈した。中国国家環
境保護総局は、中国が今後10年内に世界最大の二酸化炭素排出国となる、
と危機感を示し、OECDの指摘について「基本的に認める」と述べた。

 

経済成長と同時に環境破壊も猛烈な勢いで進む中国にとって、このような
環境レポートは本当に耳の痛いことだろう。だが、それが事実である以上
は受け入れてきちんとした対策をとってもらわないことには、周辺国とし
ても黙ってはいられない。例えば日本海で繁殖するエチゼンクラゲももと
もとは中国の近海にいたものが、海に流れ込む生活廃水の影響をうけて異
常に成長したとも見られており、漁に深刻な被害を与えている。我が国も
公害によって水俣病に代表されるような公害病を発生させた経験がある。

 

中国はいつかは終わるであろう経済成長を先延ばし先延ばしにしようとす
るだろうが、環境対策がそのブレーキとなると見ているのか、中国の都合
だけで環境破壊を続けてもらっては困るのだ。ただでさえ深刻な水不足の
中で貴重な水源まで侵されては、世界最大の人口を抱える中国は政治云々
ではなく水資源の面から崩壊していくことも決して夢物語ではない。