安倍晋三首相は18日午前、ハノイ市内のホテルで中国の胡錦濤国家主席
と会談した。北朝鮮の核問題をめぐって両首脳は、6カ国協議を再開させ
具体的成果を上げることが重要との立場を確認した。首相は、再開に向け
た中国側の努力を評価した上で、「拉致問題が動かない限り、北朝鮮への
制裁は解除できない」と日本側の立場を説明し、理解と支持を求めた。胡
主席は「6カ国協議での協力を推進したい」と述べた。中国当局者による
と、胡主席靖国問題には直接言及せず、歴史と台湾の問題での善処を要
請した。

 

日中の両首脳にとって北朝鮮の核開発を放棄させることはお互いに利害が
一致しており、小泉前首相が靖国神社参拝を続けたことで日中関係が修復
不能になったような評価は、まるで的外れであったことがここでも証明さ
れた。両国が存続する限り、お互いに好こうが好くまいが近所付き合いを
していかねばならない。現状は歴史問題に固執するばかりでは中国にとっ
て得にはならないと判断したからであって、これからも靖国神社の参拝を
始めとする歴史問題を外交カードとして切ってくることは言うまでもない。

 

安倍氏は首相就任後は今までの強硬的な主張はなりを潜めているものの、
政権を磐石なものとするまでは我慢が続くであろう。安倍政権を待ち望ん
でいた保守派にとってもそれは同様のはずだ。いわゆる靖国神社参拝の反
対を叫ぶ勢力が、小泉路線を継承する安倍政権ではアジア外交(ここでの
アジアは中韓のみだが)はダメになると言っていたが、就任後初の外遊と
して中韓を訪問している。アジア外交を叫んでいた勢力は思惑通りには進
まず歯痒いばかりではなかろうか。