安倍晋三首相は24日、政府主催の全国知事会議であいさつし、知事が関
与するなど自治体による官製談合事件の続出について「政治家にとっての
初心とは選挙で選ばれた時の民意だ。一連の不祥事が事実なら知事は民意
に背き、選挙時の熱意や志を忘れたのではないか」と厳しく批判した。首
相はまた、尊敬する吉田松陰の「士は過ちなきを貴しとせず、過ちを改む
るを貴しと為す」という言葉も引用し、「地方自治の信頼を回復するため
襟をただし、果断に行動していくことが重要だ」と再発防止に全力を挙げ
るよう求めた。

 

地方自治体の長であるはずの知事が、各地で相次ぐ官製談合事件により辞
職に追い込まれ、逮捕されると言う異常事態が続いている。中央集権から
地方分権を叫ぶからには、知事が好き勝手に振舞って良いと言うわけでは、
もちろんないはずだ。新聞を初めとするメディアが多選の是非を各知事に
アンケートをとっていたが、多選は馴れ合いを生む可能性はあるものの、
長期的な政策も組みやすくなり、知事が変わるたびにコロコロと方針が変
わることもない。無投票で再選されるわけではないのだから、次もこの知
事で何か問題が無いかは有権者がきちんと評価すべきだ。

 

むろん、これだけ信頼を失墜するようなことが起きれば、安倍首相が厳し
く批判するのも当然であろう。このような状態で地方分権を推進しても、
知事周辺の懐を肥やすだけになりかねない。また、県議会が本来知事のチ
ェック機能を果たすはずだったが、機能しなかったのも事実である。全国
知事会議が再発防止に全力をあげるのは言うまでも無いことだが、そのよ
うな労力を費やさなければならない空しさも感じずに入られない。