IP電話会社「近未来通信」が投資家に虚偽の説明をし、多額の資金を集
めていた疑いが強まったとして、警視庁捜査2課は4日午前、詐欺容疑で
本社など約20か所の捜索に着手、強制捜査に乗り出した。石井優社長は
社内で投資家に購入させた通信用サーバーの一部が稼働していないことを
認める発言をしていたことや、同社がサーバー設置業者にソフトウエアの
組み込みを指示していなかったことも、関係者の話で判明。同課は押収資
料などをもとに、巨額詐欺事件の全容解明を目指すとともに、石井社長ら
経営陣の立件に向けて捜査を進める。

 

投資家から多額の資金をかき集め、通信用のサーバーのオーナーに祭り上
げ、さらに資金を集めてオーナーへの配当金に回すという典型的な自転車
操業が明らかになると、詐欺容疑で本社にようやくと言った形で警察の手
が入ることになった。2000台以上あったとされる通信用サーバーのう
ち稼働していたのはわずかに7台、それで賄える通信料など本当にたかが
知れているだろう。ウリの一つであった海外の基地局で稼働していたもの
は無く、事業そのものが投資家を釣るための餌であったと言うわけだ。こ
れでは多額の資金を投じた投資家は無念であろう。

 

それにしても今回の投資対象はIP電話の基地局と言う実に時代に即した
ものであり、良くわからない高額商品ではないところが目新しい。投資家
が騙されるのもわからないでもない。むろんそんな美味しい話がそうそう
あるわけではないのもまた事実である。誰もが絶対に儲かるような話なら
広告を打ってまで教えてあげる理由は無いからだ。経営陣は雲隠れしたよ
うだが、集めた資金がオーナーへの配当だけだったとはとても思えない。
経営陣が搾取していた分を解明し、詐欺行為を明らかにすべきだ。