警視庁に詐欺容疑で捜索を受けたIP電話会社「近未来通信」について、
同社に資金を出した投資家が多数に上っていることを受け、同庁捜査2課
は11日、同社経営陣による詐欺事件と正式に認定し、特別捜査本部(本
部長・金高雅仁刑事部長)を設置したと発表した。同庁管内29署の応援
も得て、捜査員64人体制で全容解明を急ぐ。捜査2課が特捜本部を設置
するのは、2004年9月の社会保険庁を巡る贈収賄事件以来2年ぶり。

 

IP電話と言う一般に使われるようになったサービスを投資材料とし、巨
額の資金をかき集めた近未来通信。老後の資金を投じた被害者もおり、騙
される方が悪いとは言え雲隠れした経営陣をそのまま報知しておくわけに
も行くまい。むろん末端の社員も薄々IP電話事業が動いていないものだ
と気付いていたことだろう。売るだけ売っておいて後は知らん顔では、詐
欺の片棒を担いだも同然ではないか。捜査に積極的に協力し、せめてもの
役目を果たして欲しい。

 

明らかにいかがわしい商品を投資材料とせず、まだIP電話が普及し始め
た当初から近未来通信では投資家に中継局ビジネスを持ちかけていた点は、
悪い意味で先見の明があったと言っても良いかもしれない。数百億円をか
き集め忽然として消えた有り様を端から見ていると、近未来通信と言う会
社は正に虚構であったと思う。おそらく今後もこのような詐欺事件は手を
変え品を変え出てくることであろうが、うまい話がそう転がっているわけ
がないと改めて感じるのだ。