中国の王毅・駐日大使は、靖国神社参拝問題をめぐる日中関係の緊張は緩
和したが、中国が影響力を強めていることによってもたらされる幅広い緊
張は続いている、と指摘した。新華社が同大使のインタビューを報じた。
大使は、靖国神社参拝問題をめぐり、中国と日本は「両国関係を損なうこ
の政治的な障害をようやく克服した」と述べ、「政治的なこう着状態は解
消した」と語った。今月9日には日中外相会談が開かれ、日本側は中国首
脳の来春の訪日を要請した。王毅大使は一方で、両国間にはより深刻な緊
張があると指摘している。

 

王毅大使の言う両国間の深刻な緊張とは「貿易・政治的に影響力を持つア
ジアの大国として中国が台頭してきたことについて、日本がそれに上手く
適応できていない」とのことらしいが、悲しいかな概ね事実と言っても良
さそうだ。中国は資源確保のためにメジャーが進出していない政情不安定
な国家に食い込むのに成功している。そのバーターが中国製の武器なのは
言うまでも無いことだが、このような真似は我が国では到底出来ないであ
ろうし、中国に対抗して政情不安定国に出向いたところで彼等に与えられ
る有力な「商品」は輸出など出来はしない。

 

日中関係は緊張緩和と言いつつも、いつものように歴史認識と言うカード
を振りかざしてくることが予想され、あくまで一時的な状態であることを
忘れてはならない。中国の驚異的な経済成長がいつまで続くのか、疑念が
消えない中で日中関係を改めて考えねばならない。遅れてきた覇権国家
例えられる中国とどう付き合っていくか、当面の課題である。