自衛隊の海外派遣を本来任務化する防衛庁「省」昇格関連法が15日の参
院本会議で、自民、公明、民主党などの賛成多数で可決、成立した。共産、
社民両党は反対。関連法の成立により、昭和29年に発足した防衛庁は来
年1月9日から防衛省に格上げされる。「専守防衛」を基本方針としてき
自衛隊が、海外派遣の本来任務化に伴い国際的な活動を増やしていくの
は確実で、随時派遣を容易にする恒久法の制定や、憲法解釈で禁じられて
いる集団的自衛権行使をめぐる議論が加速しそうだ。

 

自衛隊と言う世界の中でも非常に強力な軍隊を抱えているのも関わらず、
内閣府の外局に過ぎなかった防衛庁が、発足から半世紀以上が経ったとこ
ろでようやく省への格上げを成し遂げた。国民の生命と財産を守る「力」
は我が国において自衛隊以外には考えられず、外交における最後の手段で
ある戦争を遂行しうるの自衛隊である。むろん省に格上げされたからと言
って戦前、軍部が統帥権を盾に暴走したような真似が出来るわけもなく、
あくまで憲法の縛りによって自衛隊は運用されていくのである。

 

PKO活動や周辺事態法による海外派遣が本来任務化されることで、国際
社会へより貢献が出来るようになり、かつて湾岸戦争で金は出すが血は流
さないと非難されるような事態は無くなることだろう。イラク人道復興支
援のための海外派遣も豪軍、英軍に守られていたと言うことはあるにして
も、人的な被害も無く撤収出来たことは大きい。それでもまだまだ自衛隊
の存在は曖昧な部分があり、軍隊であって軍隊ではない、そのような自己
矛盾を抱えたまま国防を担うのはあまりに不憫なことである。