北朝鮮の核問題を論議する6カ国協議が22日、実質的成果がないまま休
会したことで、議長国・中国の外交威信が損なわれた。核実験を経て、北
朝鮮の手法を熟知した上で再開を呼びかけただけに、中国は戦略の練り直
しが急務になる。中国国内では対北朝鮮外交の修正を促す声も強まりそう
だ。「6カ国は共同声明を履行するための措置、初期的段階で取るべき行
動について有意義な議論を行った」。22日夕、議長声明を読み上げる武
大偉中国外務次官は意義を強調したが、表情は硬いまま。中国の落胆は小
さくない。

 

6カ国協議の議長国である中国にとって、協議を再開した以上は何らかの
結果を残さねばならないところであったはずだが、米朝が核問題の前に金
融制裁でぶつかり合い、武外務次官が読み上げた議長声明にある「有意義
な議論」とはとても言えなかった様だ。北朝鮮の親分格として中国があれ
これ面倒をみても、核保有に全力を注ぐ北朝鮮を翻意させるのは容易では
なく、どこかのタイミングで方針の転換は不可欠であろう。崩壊すると何
度も言われながらも曲がりなりにも体制を維持してきた北朝鮮の意志は固
いのだ。

 

我が国が6カ国協議において果たせる役割など皆無に等しいのが歯痒いと
ころだが、それが現実である以上は仕方ない。この状況を打破出来るだけ
の影響力を持つのは大きな困難が伴う。拉致問題、安全保障の問題解決に
は時間がまだまだかかり、特に拉致被害者の家族も高齢化し、問題そのも
のが風化していくことだけは避けねばなるまい。6カ国協議がただ集まっ
たと言うだけの場に成り下がるのであるなら、我が国にとって何らメリッ
トは無いのではなかろうか。