米政府は18日、中国が宇宙空間上にある人工衛星を地上から発射した弾
道ミサイルで破壊する実験に成功したことを事実上確認した。中国の軍事
動向を監視する米国の偵察衛星をはじめ、日本、台湾の偵察衛星に対して
も、中国が破壊能力を獲得したことを意味する。スノー米大統領報道官は
同日、「事態を懸念している」と述べ、中国政府に対し米側の立場を伝え
たことを明らかにした。

 

これまでにも中国は米国の軍事偵察衛星に中国領内に設置された対衛星兵
器によるレーザー照射をするなど、対衛星兵器には力を入れてきた。米国
の精度の高い偵察衛星に随時監視される立場上、いざと言う時にはその目
を潰すことで戦闘を優位に運ぶことが出来る。さらには、日米で構築中の
ミサイル防衛網には監視衛星が欠かせない以上、これを潰されてから攻撃
を受ければ防衛網は無力化する。

 

中国が行った実験は軍事的なインパクトも強く、米国側が懸念を表明する
のは当然であろう。衛星を破壊する能力を持ったと米国に見せ付けること
で、ミサイル防衛の無意味さを思い知らせるためなのか、このような行動
覇権主義だと言われても仕方なかろう。どう中国が反論するのかは詳報
が待たれるところだが、いずれにせよ我が国にとっても脅威以外の何もの
でもない。態度を明らかにしておくべきであろう。