中国の弾道ミサイルによる衛星破壊実験で発生した約10センチ以上の破
片が地球の上空を大量に取り巻き、国際宇宙ステーション人工衛星が危
険な状態にさらされていることが米民間分析機関によるコンピューター画
像の分析で明らかになった。雲のような無数のデブリが北極から南極の上
空を通る軌道をびっしりと埋めており、赤道に対して約50度傾いて地球
を回るISSが、南半球の上空でデブリ帯を通過することがわかった。

 

現在の技術では回収が不可能な大量の破片をばらまき、国際社会に多大な
脅威を与えている中国の実験はもっと非難されてしかるべきであろう。米
国のダンカン・ハンター米下院・前軍事委員長は衛星の防護求めブッシュ
大統領に書簡を送り米国衛星の防護などに向けて新たな施策を国防予算に
計上するよう提案している。実際に衛星破壊兵器を使用しないにしても、
いつでも撃てる状態にあることは脅威以外の何ものでもない。

 

このような事態を起こした中国からは明確な謝罪は無く、そればかりか宇
宙への兵器配備を禁じる国際条約を結ぶべきだと主張し、宇宙の軍事利用
で圧倒的な優位に立っている米国を牽制している。米国への対抗上、衛星
破壊能力を保持したことを誰の目にも明らかなようにし、国際条約と言う
枠組みで米国の優位を押さえ込みたい、そのような戦略なのだろう。どん
な言い訳を繕おうが国際社会への明らかな挑戦としか思えないのだ。