国務省は2日、中国が1月11日に実施した衛星攻撃兵器実験を受けて、
民間宇宙開発分野における中国との今後の協力を見直すと発表した。実質
的に中国との宇宙協力を凍結するもので、米政府は対抗措置に踏み切った。
米中両国は昨年4月の胡錦濤中国国家主席の訪米に際して、月探査をはじ
めとする民間宇宙開発分野で協力の道を探ることで合意。米航空宇宙局の
局長が9月に訪中するなど、両国の提携が進みつつある局面にあった。

 

中国も米国の対抗措置は織り込み済みだったであろうが、それだけ中国が
衛星破壊能力を持ったことの重大さが伝わってくる内容だ。国務省報道官
は、「今後の協力は、中国が実験を行った事実を考慮して見直される必要
がある」と指摘し、宇宙協力は当面進められないとの考えを明らかにして
おり、事実上の破談となったわけだ。中国が行った実験によって宇宙空間
がもはや聖域ではないことが明らかになり、米国としてものんびりと構え
てはいられないのだろう。

 

宇宙が人類共通の財産であるとはきれい事だけの世界になりつつあるが、
張り巡らされた衛星を軍事だけでなく民間も通信等に利用しており、今回
の実験がもたらしたものは決して軍事上のインパクトだけでなく、経済的
インパクトの方が強いのではないか。中国が自ら協力関係を破談にして
までも得たかった能力なのは間違いないところだ。