愛知県知事選と北九州市長選の結果に関して、政府・与党内では5日、危
機感を訴える発言が相次いだ。自民党の中川幹事長は5日昼、国会内で塩
官房長官らと会談し、「大変厳しい結果だ。自民党支持層から民主党
候補に票が流れた。事実は事実として受け止めなくてはいけない」と述べ
た。谷垣禎一財務相金沢市での講演で「現職候補が勝つのは間違いな
いと思っていたが、想像以上にひやっとさせられた。内閣は緊張感を欠い
ている。首相、閣僚に気構えを求めたい」との懸念を示した。

 

一勝一敗に終わった愛知県知事選と北九州市長選の結果は、逆風化にあっ
た与党にとっては大敗はしてはいないにしても辛勝と言うのがギリギリな
ものであっただろう。閣僚の失言が地方首長の選挙と何の関係があるのか
と個人的には思うが、そのような政党が推している候補など勝たせたくな
いと言うのが有権者の気持ちなのだろうか。こうなった以上は柳沢厚生労
働相を安倍内閣は何が何でも守り抜く、そのような気構え無しには参院選
には望めないだろう。失言の続く閣僚には気を引き締めていただきたい。

 

一方の野党もこの好機を活かせず、愛知県知事選では僅差まで迫るものの
敗退。例え僅差差であろうとも敗北は敗北である。小沢代表は選挙前日「
もっと女性の声が大きくなると思っていたが、必ずしもそうではない。腹
の中では怒っていると思うが、なかなか日本人は行動に出ない」とぼやい
ており、決して柳沢厚生労働相の失言が圧倒的な追い風とは成り得なかっ
たようだ。また、審議拒否を続ければ政権担当能力を問う声が高まること
も予想され、与野党ともに課題を残す選挙となったのではないか。