安倍晋三首相は8日昼、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議に関連、拉致問
題に関する日朝作業部会が設置された場合にエネルギーなどの支援に踏み
切る可能性について「話し合いができることはいいことだ」としながらも、
北朝鮮が誠意ある対応をして、解決に向けた前進がなければ意味がない」
と述べ、設置だけでは支援に応じない方針を明確に示した。首相官邸で記
者団の質問に答えた。塩崎官房長官も「全体として拉致問題に進展が見ら
れない限り、日本から出すものはないというのは首相が言った通りだ」と
否定した。

 

北朝鮮6カ国協議の場を時間稼ぎに利用しているのは明らかだが、さら
に核は放棄するかもしれないから、まずは代替のエネルギーを支援しろと
はふざけるにもほどがある。とりあえず拉致問題に対して北朝鮮が誠意を
失っていないポーズだけをとったところで、如何なる意味があると言うの
だろうか。安倍首相・塩崎官房長官が述べたように、我が国の基本的なス
タンスは拉致問題が進展して初めて日朝との間に、対話の空気が生まれる
のであって、こちらから支援を申し出る必要性はゼロだ。

 

そもそも横田めぐみさんのものであるとして、ニセ遺骨を提供してきたり
北朝鮮がやってきたことは拉致被害者の家族への冒涜ばかりである。国連
人権理事会は、「すべての人を強制的失踪から保護する条約」(強制的失
踪防止条約)案を全会一致で採択したように、拉致問題は我が国だけが認
識するものではなく、明確な人権侵害であると世界が共有するようになっ
たことを知らしめねばならないだろう。