映画の海賊版DVDなどを防ぐため、映画館で上映中の映画をビデオカメ
ラで撮影することを禁じる新法案が、3月にも国会に議員立法で提出され
る見通しとなった。自民党の一部議員が準備している「映画の盗撮防止に
関する法律案」では、許可なく映画を撮影すると、10年以下の懲役か1
000万円以下の罰金という厳しい罰則を設ける方向だ。映画をビデオカ
メラで撮影するだけでは犯罪にならない現状を改め、海賊版の横行に歯止
めをかけることを目指す。

 

業界関係者にとってはようやくと言った感じの法案が固まりつつあるよう
だ。ビデオカメラで盗撮された映画がネットを通じて、あっと言う間に世
界中にばら撒かれ流出する、技術の進歩によって映画の公開もフィルムで
はなくデータでの公開に移行しつつある中で、実に皮肉なことではないか。
海賊版と言えば中国や東南アジアが専売特許のようであるが、実際に我が
国の路上でも海賊版のDVDが大っぴらに売られていたり、決して他人事
ではないのが実情だ。

 

法で厳罰を設けることでどれだけ被害を未然に食い止められるか、業界側
も映画の放映前に海賊版撲滅の啓蒙の映像を流してはいるが、公開された
映画が安い値段で何度も観られるとあっては、それを購入してしまう気持
ちもわからないでもない。むろん画質はそれなりのものでしかないと思わ
れるが、ビデオの性能が上がっていることで十分視聴に耐えうるレベルに
なりつつもあるだろう。このような行為が結局は業界自体を衰退させるこ
となのだと、理解しなければならない。