安倍晋三首相は14日午後の衆院予算委員会で、6カ国協議で合意した北
朝鮮への重油支援について、初期段階措置の見返りの5万トンだけでなく、
次の段階の95万トンも「拉致問題に進展が見られなければ出すわけには
いかない」と述べた。また、「進展したかどうかは北朝鮮ではなく、われ
われが判断する」と強調した。首相はさらに、北朝鮮の貨客船「万景峰号
の入港禁止など日本が独自に実施している経済制裁に関し「現段階で解除
する考えはない」と言明した。

 

一応の枠組みが出来たとは言え、これにて一件落着とはいかないのが北朝
鮮と言う相手なのである。北朝鮮が核放棄に合意し、その見返りに重油
支援するなど本来であればあってはならない話だ。我が国は拉致問題を抱
える以上、核の放棄による安全保障が仮になったところで、日朝の関係が
正常化することはない。拉致問題の解決があって初めて日朝の関係は交渉
のテーブルにつくところまでいくのだ。むろん日朝関係が改善しても果た
してどれだけのメリットがあるかは疑問だが。

 

EUや豪州も朝鮮半島の非核化には支援の姿勢をみせており、決して5カ
国だけの問題ではおさまらず、国際社会が北朝鮮の動向に目を向けている
のだと実感する。もともと北朝鮮と関係が良くも無く悪くも無い国家にと
って極東の出来事など文字通り他人事であったかもしれないが、北朝鮮
完全なる核放棄をさせるために協力していくことが重要だ。拉致問題に固
執する我が国が孤立しているなどと言う見方は無視して良い、国民の命を
軽視する国家など誰が信頼すると言うのだろうか。