5日開幕する中国の第10期全国人民代表大会第5回会議で、温家宝首相
が冒頭に読み上げる政府活動報告案で、07年の経済成長目標は昨年同様
に8%前後に設定される見通しだ。同国では06年の経済成長率が10.
7%に達し、03年以降4年連続の2ケタ成長となる中、抑え気味の目標
とすることで発展至上主義がもたらした貧富格差の拡大など社会矛盾の是
正に向けた方策を前面に出し、持続可能な安定成長を目指す方針だ。

 

先日の世界同時株安を引き起こしたのは上海証券取引所で株価が約9%下
落したことによるものだった。下落の要因は中国当局が景気過熱の抑制策
を講じるのではとの憶測が引き金となったとされ、うわさや雰囲気で市場
が動くような未熟さを露呈している。それが中国だけで収まっていれば知
ったことでは無いのだが、中国の市場の影響は世界に波及するものであり
未熟さが思わぬ結果をもたらすことを自覚してもらわねばなるまい。

 

全人代で打ち出す持続可能な安定成長を実現するには、少なくとも中国当
局は市場との対話をきちんと行い、市場の勝手な観測によって左右されな
いよう成熟させていくことだ。すでに中国は発展途上国では無く、世界に
影響を与え得る市場を持っている。統計があやふやな中国において経済成
長率の数値を信用して良いかはわからないが、それ相応の自覚を持っても
らわねば周辺国だけでなく世界に大きな迷惑をかけるのである。