新日本のサイモン猪木社長が9日、突然辞意を表明した。自分の意向が現
場に反映されない現状を理由に挙げた。正式な辞任は4月の定期株主総会
の承認を経て決まる。辞任後は未定だが、義父アントニオ猪木が8日に設
立を発表した新団体「イノキ・ゲノム・フェデレーション(IGF)」へ
の参画が確実視されている。同社長の辞任でアントニオ猪木の新日本への
影響力は完全になくなる。後任は菅林直樹副社長の昇格が有力だが、親会
ユークスから派遣される可能性もある。

 

猪木色の一掃がこれで完了することになるが、団体の方向性をいまいち見
出せていない新日にとって、これがプラスとなるのかマイナスとなるのか、
後任が誰になるかによって変わってくるだろう。サイモン猪木社長は所属
する日本人レスラーではなく、海外から招聘した外国人レスラーを新日の
顔として起用しようとしたが、所属契約で縛ることが出来ない以上、それ
は非常にリスキーな選択であった。さらに日本人レスラーのモチベーショ
ンにも関わることであろう。

 

どう見ても体つきが根本的に違うレスラー同士が戦ったところで、やはり
説得力に欠けるであろうし、観る側にとってもなかなか受け入れ難いもの
があったはずだ。むろんドーム大会のようなキャパシティーの多い会場に
お客を入れるために、大物をスポットで呼ぶのは良い。新日、全日ともに
実力・人気を備えた選手を育てることが出来ておらず、まだまだ試行錯誤
は続くだろう。経営的には油断は出来ないが、プロレスの火を消さないで
欲しいものだ。