ジョン・ボルトン前米国連大使は8日、読売新聞と会見し、5〜6日に行
われた米朝国交正常化作業部会に関連し、「拉致問題が解決するまでは、
米政府による北朝鮮のテロ支援国指定解除は交渉すらすべきでない」など
北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の交渉を厳しく批判した。ボルトン
氏は、6か国協議の2月の合意について、「北朝鮮が自発的に核兵器を放
棄することなどあり得ない。極めて悪い合意だ」と指摘した。

 

我が国にとって米国の後ろ盾無くして6か国協議でイニシアチブを発揮出
来るわけもなく、何よりもその米国が裏で北朝鮮と話を付けていたとあっ
てはもはやお手上げである。テロ支援国指定解除だけはしてくれるなと外
務省も食い下がったようだが、それも聞き耳を持たず解除に向けての交渉
に入ってしまった。完全な出来レースであった2月の6か国協議の合意に
は本当に無念としか言いようが無い。5か国が賛成している中、我が国だ
けが反対をするわけにもいかず、一応の合意を見たのである。

 

中東政策の舵取りに完全に失敗したブッシュ政権は、悪の枢軸とさえ言い
放ったイラン及びシリアとも対話に乗り出し、東アジアに構っていられな
いことを見透かされているのだろう。惜しむらくはイラク戦争そのもので
ある、米国、特にブッシュ政権にとってあの戦争で得たものは皆無に等し
い。6か国協議での裏切りは日米間に少なからず影響を与え、小泉政権
時のような蜜月関係の再現は難しいのではなかろうか。