来日中の温家宝中国首相は12日午前、衆院本会議場で国会演説を行った。
温首相は歴史問題について、日本政府が侵略を認め、深い反省とおわびを
表明していることを「積極的に評価している」と表明した。その上で「日
本側が態度の表明と約束を実際の行動で示されることを心から希望してい
る」と述べた。日本の指導者による靖国神社参拝には直接言及せず、暗に
けん制した。中国首相の国会演説は初めてで、国家指導者としても198
5年以来3人目。

 

戦略的互恵関係と言う言葉をもとに、我が国と中国がお互いに有益な関係
を築いていければ、むろん言うことなど何も無いのだが、残念ながら我が
国と中国の間にはなお深い溝がある。東シナ海のガス田開発に関しては、
中共同開発に向けての動きは見えるものの、未来志向を謳いながらも歴
史問題を穿り返す懸念も当然有り得るのだ。温家宝首相が国会演説内で暗
靖国神社の参拝をするなと釘を刺したように、歴史問題は今後も使用し
てくるに違いない。

 

きちんと知的財産の管理が出来ることが前提になるが、日中関係において
我が国が持つ技術を環境問題や資源の無駄遣いの対策に使うことは、地球
的な規模で見れば必要なことだろう。だが、そこまで現実は甘くなく、彼
等が欲するのは技術だけであって、その対価を末端の企業が支払うとは、
今の中国の知的財産に関する無法ぶりからはとうてい思えないのだ。まず
は形だけとは言え、日中間で出来ることからやっていく他あるまい。急ぐ
必要など何処にもないのだから。