昭和天皇の晩年の約20年間侍従を務めた故卜部亮吾氏の日記の一部が2
6日、朝日新聞の報道で明らかになった。日記は天皇靖国神社に参拝し
ない理由について「A級戦犯合祀が御意に召さず」と記している。卜部氏
は01年7月31日付で「靖国神社の御参拝をお取りやめになった経緯、
直接的にはA級戦犯合祀が御意に召さず」と記しているほか、「靖国合祀
以来天皇陛下参拝取止めの記事 合祀を受け入れた松平永芳宮司)は大
馬鹿」(同年8月15日)と書いている。

 

朝日新聞社の記事によると卜部侍従本人から32年間欠かさずつけてきた
日記を生前に託されたとある。卜部氏は02年の3月に亡くなられている
が、5年以上も朝日新聞社内に保管されいたとしても、今世に出てきた理
由はなんであろうか。昨年、突如として日本経済新聞に掲載されたいわゆ
る「富田メモ」もそうだったが、単純に「昭和史の貴重な資料」と言う理
由だけではあるまい。この日記は「昭和天皇最後の側近・卜部亮吾侍従日
記」全5巻として5月以降朝日新聞社より順次刊行されるとのこと。

 

富田メモ」の発表がタイミングとしても多分に政治的な目論見が含まれ
ていたのであって、この「卜部日記」も報じたい部分は一致している。そ
れは昭和天皇が「A級戦犯合祀が御意に召さず」と言う部分に尽きるので
はないか。卜部氏が亡くなる8カ月ほど前である2001年7月31日の
日記で「靖国神社の御参拝をお取りやめになった経緯 直接的にはA級戦
犯合祀が御意に召さず」との記述があったのも気になる。日付としては小
泉首相が靖国神社を参拝する直前である。各社の報道ではまだ不明な部分
も多々あるので、簡単には目が離せない。