鳴り物入りで投入された中国版新幹線「和諧号」だが、約1カ月を経過し
て、乗客のマナーの悪さが問題になっている。備品の持ち去り、通風孔へ
のごみ、非常用ボタンへのいたずらなどで、現場スタッフもあきれ返って
いる。持ち去られた備品で目立つのは、緊急脱出用のハンマー、トイレ便
座の温度調整つまみ、自動蛇口、果てはトイレットペーパーの巻き芯など。
係員は「自動蛇口を持ち去っても自宅では使えないはずだ」と首をひねる。

 

如何に最新鋭の交通インフラを投入したところで、利用する側がこれでは
どうしようもないだろう。この和諧号に乗れるような人は経済的にも恵ま
れている方だと思われるが、備品を持ち去るのはマナー以前の問題であっ
て、第一、そのまま持って帰ったところで家で使えるような代物ではなか
ろう。北京五輪や上海万博を控える中国にとっても、国民のマナー意識の
欠如を補うには、並大抵の努力では難しいのではないか。

 

顕著な例が荷物置きの下にある通風孔をゴミ入れ代わりに使う乗客で、予
想外の使い方をしているものだ。ゴミはゴミ箱へと言う当たり前のことを
教えなければならないレベルなのか、それとも面倒だからと通風孔に入れ
てしまっているのか、どちらせよ前途多難ではある。中国は偽らざる現状
を世界に伝えた方が、結局は自国のためになるのではなかろうか。