台湾の李登輝前総統が30日午後、中華航空機で成田空港に到着した。李
氏の訪日は2004年12月以来で、総統退任後は3度目。6月9日まで
の滞在中、松尾芭蕉の「奥の細道」のゆかりの地などを訪ねる。今回の来
日では初めて講演と記者会見を行うほか、政財界関係者とも交流する。ま
た、李氏は機内で日本人記者団と懇談し、李氏の兄がまつられている靖国
神社について、「行かないのは人情として、弟としても忍びない」と述べ、
私的に参拝する意向を示した。

 

李登輝前総統は総統職から離れた後も台湾独立派に極めて重要な影響力を
持つとされており、李前総統が来日を希望するたびに中国がビザを発給し
ないよう求める内政干渉を繰り返していたものの、台湾から我が国を訪れ
る際の観光ビザが免除となったこともあって、「台湾独立分子とその勢力
に政治的な舞台を提供してはならない」「李登輝がどんな人かは誰もがよ
く知っている。彼の長年の言動は台湾の独立分裂勢力の本質を十分に証明
している」と李前総統を批判するにとどまった。

 

念願だった「奥の細道」を訪れ、さらに自身の兄が祀られている靖国神社
を参拝する李前総統にとって充実した旅となるだろう。我が国統治時代の
台湾に生まれ、京都帝国大学に学んだだけあって、秋田の国際教養大で行
われる講演では日本の学生にどのようなメッセージを送るかも注目したい
ところだ。日本人より日本人らしいとも言える李前総統の言葉を受け止め
たい。中国の横槍など気にする必要など何処にも無い。