救急車出動の急増を受け、東京消防庁は6月から、救急隊が現場で明らか
に緊急性が低いと判断した患者に対して自分で病院に行くことを勧める「
トリアージ」制度の試行に全国で初めて踏み切る。重症者を優先する措置
で、搬送しなかった患者の容体急変を懸念する声もあるが、同庁は「対象
を手足のけがなどに限定しており心配ない」としている。札幌市や横浜市
などでも導入を検討しており、総務省消防庁は今回の試行が大都市での制
度普及への試金石となるとみている。

 

怪我をして交通手段が無いために救急車を呼ぶ、そのようなモラルの無い
「患者」が増えたことによって、昨年の東京消防庁の救急車の出動件数は
68万6801件で10年前に比べて約22万件も増えている。それに伴
い現場への平均到着時間は6分10秒で10年前より約50秒遅くなって
おり、本当に緊急性の高い人に今すぐ駆けつけねばならぬ時に、数十秒の
ロスと言えども大きいだろう。ただ、軽症でも本人の同意が得られない場
合は従来通り搬送するようだ。

 

現実問題として、限りある救急車をまるでタクシー代わりに呼びつける常
連がいるのも事実だ。1年間に50回近く119番通報し救急車を要請し
たなどとして告発された男性もいる。そのような問題をいつまでも放置し
ておけば、救えるべき命を見捨てることと同じであろう。もはや日本人の
モラル云々の問題で片付けて良い話ではないのだ。