自民党は5日の総務会で、7月の参院選の公約を了承した。年金記録漏れ
問題を受けて、年金支給の5年間の時効を撤廃することや、今後1年以内
に年金加入者・受給者全員と該当者不明の納付記録約5000万件の照合
調査を完了することなど、政府が発表した対応策を急きょ盛り込み、党と
して実行を確約した。公約は〈1〉美しい国の礎を築く〈2〉美しい社会
と暮らしのために〈3〉美しい郷土(ふるさと)をつくる〈4〉美しい国
・日本の指針を世界に示す――の4項目、計155の政策からなる。

 

3年前の参院選同様に図らずも自民党は年金を争点として戦う羽目になっ
たと言えそうだ。社会保険庁の杜撰さこそ批判すべきだが、与党に責任あ
りと野党は攻めてくることだろう。だが、そのような社会保険庁の体質を
作ったのは他でも無い民主党の有力な支持母体である自治労を始めとした
労働組合にもある。例えば社保庁職員組合自治労国費評議会」は、コ
ンピューター導入に際して、「労働強化が生じないよう十分配慮する」「
1人1日のキータッチは平均5000タッチ以内」など、仕事量が増えな
いように、様々な確認事項を取り交わしていたことが明らかになっている。

 

さらにはデータの入力を主婦など素人のアルバイトに任せていたとの証言
もあり、如何に国民の年金が杜撰に扱われていたか、あきれるばかりだ。
手書きの台帳で保存されていたデータを、コンピューターに入力していな
かったなど、民間企業では絶対に許されないミスすら犯している。与党に
出来るのは国民の不信を解消することであり、野党は年金問題を選挙に利
用するだけでは仕方あるまい。あまりに蔑ろにされ続けてきた年金システ
ム、正に正念場である。