国土地理院が太平洋戦争の激戦地、硫黄島の呼称を「いおうじま」から「
いおうとう」に変更したことで、米国内で困惑が広がっている。米国では
「イオウジマ」の名がさきの大戦での勝利を象徴する地名として定着して
いるためで、変更をめぐり「日本が歴史を書き換えた」といった報道も飛
び出した。不満の声は、とりわけ米軍の退役軍人らの間で根強いようだ。

 

まったく何を言っているだろうかとため息すら出てくるレベルの話だ。「
いおうじま」と呼称していたのは米国の都合であって、今回の変更に関し
てはもともと我が国では「いおうとう」と呼称するのが正しかったものの、
誤って「いおうじま」と登録してしまっていたのが原因である。それを歴
史の書き換えなどと報道すること自体、きちんと調べれば出来ないはずだ。
他国の領土の名前がどう変わろうとも、それはその国ごとにおいて粛々と
行われるだけであろう。

 

確かに彼らにとっては米軍が非常に苦しめられた地獄の戦場として「イオ
ウジマ」の名を永遠に刻み込みたいとの願いがあるかもしれない、イオー
・ジマ級強襲揚陸艦がその例であろう。だが彼ら以上に、そこにかつて住
んでいた旧島民達やその子孫にとっては「イオウジマ」などではなく「い
おうとう」なのだ。勝利を象徴する云々は勝者の勝手な理屈以外に他なら
ない。このような報道にいちいち反応する理由などないのだ。