日中戦争の発端となった盧溝橋事件から70周年を迎えた7日、北京郊外
の盧溝橋近くにある「中国人民抗日戦争記念館」で記念式典が開かれた。
式典では「平和、未来志向」が強調され、胡錦濤指導部による対日関係発
展の方針を受けて反日色を弱めた内容となった。しかし盧溝橋では民間団
体などが旧日本軍の残虐行為とされる写真を多数展示、「反日」感情を高
める効果を果たした。

 

もっぱら局地的なゲリラ戦に徹していた中国共産党が抗日戦争に勝ったと
言うこと自体がおかしな話だが、それを反日の材料として利用してきたこ
とは見逃すことが出来ない話だ。ひとまず歴史問題を棚上げして我が国と
の関係改善を目指す中国にとって、靖国神社参拝問題、盧溝橋事件、南京
事件について「みだりに報道したり発表してはならない」と指示している
らしく、結局は政府主導であることを明らかにしているようなものだ。

 

自らが育ててきた「反日エネルギー」が社会の不安定をもたらす可能性が
あると判断したのであろう。何ともご都合主義な感は否めず、中国共産党
にとっては本当に恐ろしいのは中国人民が反日の鉾先を向ける先なのでは
ないかと勘繰りたくもなる。中国国内で問題が起きれば反日色を強めるこ
とに転換することは間違いなく、それはそれで厄介なことだ。