来日中の曹剛川・中国国防相は30日、都内のホテルで講演し、中国が今
年1月に実施した人工衛星破壊実験について「完全に科学的、研究的な試
験であり、いかなる国、第3者に向けての試験でもない」と強調。今後は
「宇宙の平和利用」に向けた条約を制定し、実験を禁止することが望まし
いとの認識を示した。曹氏はまた、「中国は宇宙の兵器化に反対だ。一番
良い方法はみんなが一緒に宇宙での試験を禁止する条約を作り、それに従
うことだ」と述べた。

 

人工衛星を破壊する実験が「完全な科学的、研究的な試験」とは笑わせて
くれるではないか。何のためにミサイルを衛星に撃ち込んで、どのような
研究成果が得られるというのか、はっきりと説明して欲しいものだ。米国
ミサイル防衛への対抗策なのは明らかであり、同時に宇宙での軍縮を提
唱することで、自国のミサイル戦略を維持しようと言う目論みであろう。
衛星に関して米国に出遅れをとっている中国が、衛星破壊と言う対抗手段
の存在を示しただけのことだ。

 

我が国も米国のミサイル防衛計画に参画している以上、関係改善の象徴と
して来日した中国国防相だからと言って、阿ることなくきちんと真意を問
い詰めねばならない。軍拡を続ける中国が地域の安定化どころか不安定化
をもたらす要因となるのだと、誰の目にも明らかではないか。我が国と中
国が真の友好国とたらんとするのであれば、避けては通れない道なのでは
なかろうか。