安倍晋三首相は4日午前の閣僚懇談会で、遠藤武彦農水相補助金不正
受給問題で引責辞任したことを踏まえ、「閣僚は自らの職責を果たす上で
厳正中立を旨とし、いやしくも国民の信頼を損なうことがあってはならな
い。このことを肝に銘じ、緊張感を持って公正な政策運営に当たってほし
い」と指示した。遠藤氏の後任の若林正俊農水相は同日午前、皇居での認
証式を経て、正式に就任した。首相は、内閣改造からわずか1週間余りで
閣僚辞任に追い込まれた影響を最小限に抑え、10日召集の臨時国会に向
け態勢を立て直したい考えだ。4日午前の自民党役員会では、「党に迷惑
を掛けた」と陳謝した上で、「新体制の下、士気を高めて信頼回復に努め
る。一体となって臨時国会を乗り切ってもらいたい」と結束を求めた。

 

こうなると後任の若林農相が農政にどれだけ詳しいか、では無く就任に際
して何も問題が無いとの消去法で選ばれたのではないかと勘繰りたくもな
る。人心一新が掛け声倒れで終わってしまったことを払拭するためにも、
早々に遠藤氏を事実上更迭したのは間違ってはないだろうが、臨時国会
召集を前に大打撃となったことに変わりは無い。野党は攻勢を強め参院
首相の問責決議案を提出することすら検討している。むろん法的な強制力
を伴う決議では無いため、即解散総選挙となるわけでは無いにせよ、チク
チクと攻めるには十分効果を発揮するだろう。むろん、いつまで経っても
「政治とカネ」の問題が国会を混乱させるのは好ましいことではない。安
倍政権の再出発は早くも暗礁に乗り上げてしまった、臨時国会でどう動く
か、民主党はてぐすねを引いて待ち構えていることだろう。