ロイター通信は4日、ゲーツ米国防長官室の電子メールにハッカーが侵入
し、完全復旧まで3週間かかった事実を国防総省が認めたと報じた。この
問題では、英紙フィナンシャル・タイムズが「侵入者は中国の人民解放軍
とする国防総省当局者の話を伝えているが、同省では「特定するのは困難」
としているという。同通信によると、国防総省では今春、長官室の機密扱
いではない電子メールのシステムに何者かが侵入したことが発覚し、ただ
ちに他のシステムから切り離されたという。

 

ネットワークの発達によって確かに国と国の距離は、擬似的には相当縮ま
ったと言えるだろう。だが、便利であるのと同時に外部に繋がったネット
ワークは、情報漏洩の危険が常にあり、かと言って外部から遮断されてい
るネットワークはネットワークと呼ぶに相応しくは無い。ネットワークの
セキュリティが発達しても、それを巧妙に回避し目的を達する、そのよう
ハッカーが国家の庇護の下に養成されているとしたら、実に恐ろしいこ
とではないか。SFの世界のような出来事が、有事には起こる可能性があ
るのだ。

 

今回、国防総省に侵入したハッカーが、どの国のハッカーなのかは明らか
になっていないが、機密扱いではないとは言え、世界最強の軍事力を持つ
米国の軍事の中枢「国防総省」に易々と侵入されては、ネットワークの責
任者のクビがどれだけ飛んだか、容易に想像が出来る。我が国では自衛隊
の情報漏えいが問題となったが、これはまた別次元の話だ。侵入されたこ
とすらわからない、それが最も恐ろしいケースなのは言うまでも無い。ネ
ットワークの防衛力を高める必要に迫られている。