安倍晋三首相は10日午後、衆院本会議で所信表明演説を行い、7月の参
院選で与党が大敗したことに触れ、政治と行政に対する不信を招いたこと
を深く反省すると述べるとともに、「退陣すべき」との意見があることは
十分に承知していると語った。その上で改革続行のために続投を決意した
と述べ、年金問題や地方の活性化、歳出・歳入一体改革などに全力で取り
組む方針を表明した。また、テロ対策特別措置法に基づく海上自衛隊の補
給活動の継続に理解を求めた。

 

テロ対策特別措置法が延長ないしは、特措法に変わる新たな新法が成立し
なかった場合は、退陣すると明言した安倍首相。参院選の大敗は今後とも
尾を引くことであろうが、政治的空白を作らずにやるべきことをやる、現
在の安倍首相に出来る信頼回復の方法はそれくらいのものだ。ただ、党内
の不満の捌け口が安倍政権に向かっている以上、これまでよりも党内に目
を向けざるを得ず、同志と目される麻生幹事長の力量が問われている。人
心一新を目論み誕生した安倍改造内閣も遠藤前農相の辞任で、早くも傷物
となってしまい、厳しい状況が続くが新たな船出に乗り出した安倍政権に
とって、決して避けることの出来ない戦いが始まる。