社会保険庁は10日、約5000万件の該当者不明の年金記録のうち、1
割強に相当する約524万件について、氏名が登録されていなかったと公
表した。氏名は、生年月日と性別とともに、記録の持ち主を特定するのに
必要な3条件の一つ。氏名が欠けた記録が大量に見つかったことについて、
社保庁は「記録が統合できない要因になったことは否定できない」として
いる。政府が2008年3月末までに完了するとしている年金記録の名寄
せ作業にも影響が出かねない。

 

憤りを隠せない怠慢ではないか。この約524万件の内訳は、氏名だけが
なかった記録が493万7396件で最も多く、次いで氏名と生年月日の
両方がない記録が29万5786件、氏名と性別がともに欠けた記録は3
927件だった。さらに、氏名、生年月日、性別のいずれも登録されてい
なかった記録も3809件、本当に何たることであろうか。国家が国民に
保障したはずの年金が、このような杜撰な管理をされていたとあっては、
許してはおけない。社会保険庁は解体されることが決まっているが、誰か
が責任を負わねばなるまい。

 

参院選の大敗の原因の一つとなった年金記録の問題にしても、参院選が終
わると民主党も安倍政権打倒のためにテロ特措法の延長阻止に全力を上げ
ている現在の状況は、年金は選挙での攻撃材料でしか無かったと自ら告白
したようなものだ。ネクストキャビネットに年金担当として長妻議員を置
いたのが、その姿勢の表れかもしれないが。社会保険庁の杜撰さが暴露さ
れていくたびに、年金への国民の不信は高まり続けていくことであろう。
もはや安心出来る年金制度などと言われても、とてもじゃないが信用など
出来はしない。膿を出し切った上で日本年金機構として出直して欲しい。