「勝ち馬に乗ることだけが勝ちだとはとても思えない」。05年衆院選
初当選した杉村太蔵議員が、18日付のインターネットのブログで、派
閥の合従連衡が目立つ自民党総裁選の現状に異を唱えた。「派閥の親分
が右だからと言って右に向くような先祖返りをするような選択しかでき
ないようならば、政治家なんて誰でもできるじゃないか」「議論が尽く
されたとは思えない段階で、結論を出すことなどできない」などとして
いる。同期の「小泉チルドレン」らでつくる武部勤元幹事長のグループ
「新しい風」は同日、福田康夫氏に「復党問題は現職議員を優先する」
などの政策提言を申し入れ、支持する姿勢を示したが、メンバーでもあ
る杉村氏は姿を見せなかった。

 

杉村議員は初当選した当初は連日マスコミを賑わせていたものだが、小
泉前首相が退陣後はめっきりと話を聞かなくなっていた。そんな中で武
部元幹事長に反抗する姿勢を見せたのは、十分な「見せ場」となったこ
とだろう。自民党総裁選は福田氏が名乗りを上げるやいなや、あっと言
う間に派閥単位で福田氏支持を打ち出し始め、あれよあれよと麻生派
外の派閥が福田氏支持となってしまった。福田氏が何らビジョンを語る
前にも関わらずだ、これにおかしいと異論を唱えるのが本来の議員の姿
ではないのか。そう言った意味では杉村議員は正論をもって批判をして
いるのであって、決して的外れなことを言ってはいないのだ。自民党
裁選は国会議員の票数が地方の票より多い分、もはや出来レースと言っ
ても過言ではない状態だ。福田総裁確定で進む総裁選は一年前の自民党
総裁選を彷彿させるではないか。

 

一年前は安倍首相、谷垣元財務相、麻生幹事長が争い、安倍首相が7割
近い票数を集めて圧倒的強さで総裁の座に就いた。勝ち馬に乗ろうと派
閥単位で安倍支持に動き、その結果出来た内閣は論功行賞内閣などと揶
揄されたのも、決して古い話ではないのだ。安倍首相の政権投げ出しと
も言える退陣によって、自民党はかつてない存亡の危機に立たされてい
る。その自民党がとった行動が相も変わらず派閥の合従連衡では、国民
の目にはどう映るのかわからないわけではあるまい。ただ、もともと派
閥とはその領袖を担ぎ、総裁の座に就かせ自分たちが主流派になるため
のものであった。今の派閥はおこぼれに与ろうとするだけの集団にまで
堕ちてしまったと言うのであろうか。解散総選挙になった際に公明党
創価学会の票を当て込んでも、どこまで戦えるか見ものである。