海上自衛隊によるインド洋での給油活動の継続に向けた日本政府の働きか
けで、「切り札」は安倍晋三首相によるブッシュ米大統領への直談判だっ
た。首相「海自の活動に権威付けができるような種類の国連決議ができな
いだろうか」大統領「ライス国務長官町村信孝外相など日米の外交当局
や国連の場で連携を取り合うように指示しよう」外務省筋によると、アジ
ア太平洋経済協力会議首脳会議を機に行われた今月8日の日米首脳会談で
は、こうしたやり取りがあった。もともと外務省は8月末ごろから「9月
末に採択される国連決議に海上阻止活動を盛り込む」との案を用意してい
た。ただ、同省内には「国連決議1368号で、すでに海自の活動は論拠
を得ている」として、新たな国連決議には否定的な意見も根強かった。

 

参院過半数を握られた時点で、すでにテロ特措法の延長は非常に困難な
ものとなっていたが、安倍首相の最後の一手は安保理常任理事国の米国へ
の働きかけによるものであった。あまりに唐突な辞任は国内に大きな衝撃
をもたらしたものの、辞任前に安倍首相が首相の座を賭けると言って臨ん
海上自衛隊によるインド洋での給油活動の継続は、国連の場を利用する
事態にまでになった。このタイミングにしてこの決議、非常に政治的な意
図をもって行われただけに、決議の場ではロシアは棄権をしている。だが
もともと国連とはただの仲良しクラブでは無い。各国が国益をかけて参加
しているのである、そういった意味では今回の国連を利用しての一手は手
法としては間違いではない。延長をするのに他に打つ手が無く、民主党
話し合いに応じない姿勢を崩さない以上、敢えて外から援護射撃をしても
らい、その姿勢を崩して突破する。後手の一撃としては、十分なものだっ
たのではなかろうか。