自民党福田康夫総裁は24日午前、党執行部の主要人事を決めた。党三
役には、幹事長に伊吹派会長の伊吹文明文部科学相政調会長谷垣派
長の谷垣禎一・元財務相が起用され、総務会長に二階派会長の二階俊博
務会長が留任した。選挙対策総局長には、古賀派会長の古賀誠・元幹事長
を充てた。福田氏は24日午前9時半過ぎに党本部入りし、伊吹氏らを呼
んで就任を要請した。参院選で惨敗した党の立て直しのため、9派閥のう
ち4派閥の領袖を主要ポストに起用する重厚な布陣を敷いた。伊吹氏ら4
人は、いずれも総裁選で福田氏を支持した。役員人事では、町村派細田
博之幹事長代理、高村派大島理森国会対策委員長は留任した。

 

参院選大敗を受けて立ち上げられた党執行部同様に、派閥の領袖が主要ポ
ストに起用された形となった。むろんこの顔ぶれは福田支持に回った派閥
の長ばかりであるが、おそらく閣僚も領袖ないしは領袖クラスと呼ばれる
実力者が入閣するのは間違いない。挙党一致と言えば聞こえは良いかもし
れないが、安倍内閣が誕生した時と同様に、論功行賞との批判は決して免
れるものではあるまい。さらには予想以上の票を集めた麻生氏の扱いも注
目され、閣内に取り込むのか、それとも閣外に置いて様子を見るのか、な
かなか難しいところであろう。顔ぶれが変わろうとも、参院を野党に握ら
れている現状が打開されるわけではない、この難局を乗り切れるかは福田
氏が得意とすることの調整力を発揮することがまず第一ではなかろうか。

 

ただし、今回の総裁選を見て有権者は派閥談合型の古い自民党が帰ってき
たと判断したのなら、年内の解散総選挙と言う選択肢はあり得ないだろう。
確実に敗北することが分かっていながら、野党の術中にはまるとも思えな
い。福田氏の地方票は都市部より地方の票が多いとされ、地方切り捨て
批判される改革路線をどう修正し対応していくか、小泉政権が残した負の
遺産の処理を安倍・福田内閣が引き継ぐことになったのは、政権下で官房
長官を務めた2人にとっては、試練と言う外あるまい。参院選での大敗を
素直に受け止め、党再生のために力を尽くしてほしい。そして我が国を正
しい方向に導いてくれることを切に願うものだ。