国連安全保障理事会は二十六日午後)、ミャンマー情勢を受けた緊急会合
を非公開で開き、現地の状況に懸念を表明し、軍事政権に自制を促す声明
を発表した。声明はまた、潘基文国連事務総長が決定したガンバリ事務総
長特別顧問のミャンマー派遣を支持し、軍事政権に入国を即座に認めるよ
う求めた。声明は、協議で各国の見解が一致した点を安保理議長国フラン
スのリペール大使が読み上げる形となり、中国の反対により、米英が求め
た議長による報道機関向け声明より弱められた。

 

燃料の値上げに反対し何万人もの僧侶や市民による抗議デモが行われた結
果、軍による鎮圧が実行されることとなった。我が国のカメラマンも銃弾
に倒れたとの報道もあり、事態は余談を許さない。米国は金融制裁も検討
しているとされ、長きに渡って独裁を続けてきた軍事政権が追い詰められ
たかにも見える。だが、実際のところは安保理ではミャンマーへの制裁が
検討されるも、中国が即座に反対の意向を明らかにし、王光亜国連大使
「制裁はミャンマー情勢の解決にはつながらない」としている。

 

流血の事態が起きているにも関わらず、安保理は中国の反対によってその
機能を果たせてはいない。中国はミャンマーの軍事政権とは深いつながり
を持つとされ、ミャンマーは中国側に1万平方キロに及ぶ天然ガス田の探
査権を与え、ミャンマーと中国を結ぶ石油・天然ガスパイプラインの建設
計画も進んでいる。利権を持つ中国がミャンマーに甘い姿勢になるのは国
益の上で当然かもしれないが、深刻な人権弾圧を黙って見過ごすような国
が安全保障を語って良いものか疑問である。