北京で開催中の中国共産党第17回大会で、政治報告に初めて提唱された
「エコ(生態)文明」建設が国内企業家や専門家の注目を浴びている。環
境税導入の検討などが明らかにされ、企業の負担増が必至とみられる一方、
今後5年で3000億ドル規模とされるエコ経済市場を新たな果実とみる
向きもある。試練とするかチャンスとみるかで、中国のエコ文明建設の成
否が問われそうだ。

 

我が国も高度成長期には環境問題と言う壁にぶつかり、規制や技術の革新
により乗り越えてきたが、中国の場合は驚異的な経済成長が環境問題と同
時に格差の拡大を生んでいる。だが、これを急激に締め付けることは景気
にブレーキをかけることとになると恐れる中国共産党は、今回の共産党
会で「エコ文明」建設なるものを打ち出し、ブレーキをかけることなく走
りながら環境問題を解決しようと言う野心を見せた。

 

これが実現するなら我が国としても歓迎したいところだが、水資源の汚染
が深刻とされる中、果たして中国の自然は以前のような姿を取り戻せるの
かは大いに疑問である。公害を垂れ流し続けてきたツケは当然戻ってくる
ものであって、エコ文明なるものが根付く前に破綻しかねないのではない
か。このままの状態が永遠に続くことは無い、それを中央政府だけでなく
地方政府を含めて中国国民が今もって知るべきだ。